松場通信Vol.10 〜シカニクの調理研究〜
村内のやさしい方にシカニクを分けていただきました。
シカニクとは名前の通り鹿の肉です。
なぜあんたはカタカナで書くのかと申しますと、
豚肉、牛肉のように日常で馴染みがなかったもので、どうも緊張してしまうのです。
緊張するとどうしてカタカナなのかと申しますと、
それは僕も良く知りません。
多分3キロは超えているのではなかろうか。
ずしっと重く、当分肉には困らないでしょう。
「おニク♪おニク♪おニク♪」頭の中に流れる祝福ソング。
古代より人は、マンモスなどを食していたと記憶しますが、
そのDNAは僕にも受け継がれ、「ニク=嬉しい」という、
完璧な等式が自分の潜在意識としてあるようでした。
とか、そんな理論的なことを言ってみても、
頭の中は「おニク♪おニク♪おニク♪」。
まな板にのせてみました。
(これでいただいた半分くらいです)
お肉に向かって一礼。合掌。
この間まで山で生きていたシカ。
僕もたまに道すがらすれ違うこともありました。
夜は村人よりもシカに会っている方が多いかもしれません。
そんな普段身近に接していた生き物がこうして目の前にニクとしてあるのは、
色々考えさせられることがあります。
本当は仕留めて捌くところまでをしっかり経験しなくてはいけないのですが、
なかなかできません。
この捌いた状態でいただけるというのは、
その過程を誰かがやってくれたということなので、
本当に感謝をしなくてはいけません。
話は戻り、
この「嬉しさ」と「複雑さ」をとりあえず隅に置いとくとして、
問題は「どうやって食べるのか」ということです。
以前にもシカニクをいただいた際、
普通に調理しただけでは少し硬く、顎が疲れてしまいました。
折角こんなにいただいたのですから、
美味しく調理して、感謝しながら食べなくては。
そう思い、色々やってみることにしました。
まずは手始めに、塩胡椒。
素材をそのまま味わいたいので、ただ焼いてみます。
豚肉と同じようなもんかと思い、
油をひかず焼いてみると、少々焦げてしまいました。
油はかなり少なく淡白なようです。
早速一口。
「う〜ん、いいね」
美味しいでした。
臭みも意外に少なく、ん〜〜〜、
例えるなら鳥のレバーっぽい味でした。
翌日。
今度はネットで調べて気になった
「鹿肉のワイン煮込み」をやってみることに。
圧力鍋で下ゆでしたシカニクに、
しょうゆ、さけ、みりん、さとう、しお、ワイン、コンソメ・・・
家にあるありったけの調味料を使い煮込んでみました。
残念ながら家には赤ワインがなかったので白ワインで代用しました。
圧力ちゃんで煮込むこと5分。
そして放置すること20分。
いざ!!
あれ?
なんか想像していたのと違う。
「ワイン煮込み」ですからもっと洋風な仕上がりを期待していたのですが、
なんか煮豚っぽい。
理想(フリー画像)↓
現実↓
切ってみて思ったのは「これチャーシューじゃねぇか!」ということです笑。
全く、これだから素人は。
食べてみてもワインのワの字も見えません。
気になるお味はというと・・・
まぁまぁ!
ただ、少々硬いようでした。
もう少し煮込んでもよかったのかなと。
黒コショウをふったらどうかという妻のアドバイスをうけ、
黒コショウをふったら、より美味しくなりました。
※ただのコショウではなく、黒コショウ(ブラックペッパー)なのがミソなのさ。
「シカチャーシュー」
なかなか聞きなれないけれど庶民的な料理が出来ました。
「おニク♪おニク♪おニク♪」
つづく
執筆者:筑北村 地域おこし協力隊 青木陽太郎