松場通信Vol.9 〜今でも根付く家の屋号のお話〜
ホーホケキョ。
2月12日、おうちのお部屋に桜が咲きました。
あらやだ、ついにこの人ぼけちゃった、
なんて思わないでください。
ウグイスはさすがに幻聴ですが、桜は本当なのです。
これについては後で種明かし(というほどのものでもないですが)をします。
さて、
今日は集落のたのしい「屋号」のお話を持ってきました。
そんな話は退屈でしょうか?
ノーノー(指を振りながら)。
折角ここまで見ていただいたので、最後までお付き合いください。
コトの発端は大家さんとの電話。
要件が済んだ話の終盤。
「ウチの屋号は『上(うえ)っこ屋』というのよ」と、
今お借りしている家の屋号を教えてくれたのでした。
ヤゴー?
今まで通算8回の引っ越しをしてきましたが、
屋号がついているお宅なんて生まれて初めて。
正直な話「かっけ〜」と思いました。
それだけで意味もなく興奮し、
やけに舞い上がってしまいました。
屋号と聞くと、あの「越後屋」を僕は真っ先に思い浮かべます。
(時代劇とかでお主も悪よの〜と言われているひと)
あとは母校のそばにあった24時間営業のラーメン店「山岡屋」。
(あそこの朝ラーメンなるものを時々食べたっけ)
あとは牛丼の「松屋」とか。
(僕は牛丼よりも豚丼だった頃の方が好き)
ようは「屋」がついて、商売をしているお店を思い浮かべるのです。
しかしウチは特に商売をしていたわけではないようで、
この集落でいう家の屋号とは、
単純に家に対してのあだ名のように使われているようでした。
その証明のように、
あるお宅の屋号を聞くと
「うちは『ハラ』です」と言っていました。
「ハラ」・・・?。
そうなんす。
必ず「屋」がつくわけではないようです。
なんにせよ、今でもこの集落では、
屋号で呼び合うという粋な風習が残っているのでした☆
ならば僕も屋号位覚えておかなければと思い、
早速調査してきました。
目星をつけていたお宅が留守だったので、
いつも集落でお世話になっているおばあちゃんの家にアポなし訪問。
どうぞどうぞということで、厚かましくお邪魔しました。
早速集落の地図のプリントを広げ、
おばあちゃんに根ほり葉ほり聞きます。
途中お茶や漬物、牛乳ドーナツを勧められながら。
(たいへんおいしくいただきました)
聞いてみると集落の屋号には面白い発見やエピソードが沢山。
折角なので、その屋号の面白さと、奥ゆかしさを紹介します。
(この情報は、この日アポなし訪問で伺ったおばあちゃんのお話と、
僕の記憶と記録に基づいて書いています。
もし違っていたらごめんなさい。その時は誰かやさしく教えてください。)
「西畑」
集落の中でみると一番西に位置している家の屋号。
西にある畑で「西畑」。
このルーツの分かりやすさ。
実に納得度が高いです。
ガッテン。
「瓦三軒」
これは正確に言うと屋号というより、総称です。
それぞれ隣り合っている三軒の屋号(上瓦・下瓦のうち・車屋)を、
まとめてこう呼ぶのだそうです。
この粋っぷり!
これを知っていると「お前やるじゃん」と言われそうな、
マニア受けするエピソードですね。
「とうふ屋」
この屋号がついているおうちが、
肝心のとうふ屋だったのかをよく覚えていないのですが、
この屋号の面白さはイントネーションにあります。
とうふ屋の最後の「屋」の発音がキッチリ決められているのです。
「とうふ屋↑」ではなく「とうふ屋↓」 なのだそうです。
語尾を下げるそうです。
なんと繊細な!
『トシオさんち』
!?
青木 「トシオさんのお宅は屋号じゃないんですか?」
おばあちゃん「あれ〜、そうねー。みんなトシオさんち、トシオさんちって呼んでいますねぇ」
青木 「じゃぁトシオさんちなんですね」
おばあちゃん「そうですねぇ。トシオさんちですねぇ」
これだけの色々な屋号で呼び合う風習がある中、
不動の呼び方を確立されているこの『トシオさんち』。
本来のあるべき姿というか、なんでしょうか、このふり出しに戻った感(笑)。
これは個人的にすごくイイと思いました。
このまま後世に残って欲しいですね。
ちなみにこのトシオさんご本人は、
村で桜を育てているおじいさんです。
ちょうど「ちくほくのひと」という村のインタビュー記事も載っています。
さらに村の宣伝をしますと、筑北は隠れた桜の名産地なんです。
村内では主にこのトシオさんを含めた3件の桜農家がおり、
積極的に栽培&出荷をおこなっています。
冒頭の我が家の桜も、そんなワケなんです。
これはハウス栽培をした桜ちゃんで、
要は開花の時期を調整してできた桜なのだそうです。
(スーパーに冬キュウリやトマトが売っているのと同じようなシステム)
ふるさと納税の返礼品にもなっています。
ちなみに楽に咲かせられるので「RAKUSA」という商品名なのです。
去年から返礼品にしたのですが、意外とスロースタート。
是非お求めください。
(結局村の宣伝で終わってしまった)
執筆者:筑北村 地域おこし協力隊 青木陽太郎