ちくほくのひとVol.29中澤崇さん

若い世代が若者に筑北村の魅力を届ける! 奮闘する肉屋の二代目

「この辺りでは“焼き肉”といえばモツやホルモンのことで、カルビやハラミなどの一般的な焼き肉は特別なときに食べるものなんだそうですよ」。取材先へ向かう車の中、案内役の地域おこし協力隊員が話してくれた。今日お話を伺う精肉店の看板商品も、地域のソウルフードである「味付け牛モツ」だそうだ。この地域の焼き肉には欠かせない味なのだろう。

「『地域に密着して、個人商店の肉屋としてがんばってます!』というお店が、長野県どころか日本全国にもなかなかないのが現状です。当店のフォロワーにもそういう地域密着の精肉屋さんもいますが、独自でさまざまなノウハウを出しながらがんばっているお店が多い。スーパーや大型店よりもうちのほうが魅力がある、感じ取ってほしいと考えているお店がいっぱいあるんです。われわれもがんばるので、そういうところに注目してほしいなと思います」。
筑北村で奮闘する若き経営者は、筑北村でどんなふうに育ち、どんなことを考えながらお店を運営しているのだろう。そしてこれからのことをどう考えているのだろうか。

[ 2022年8月25日更新 ]


さまざまなことに興味を抱きつつも、ベースにあったのは家業の肉屋

高校2年の夏、停学になりました。家業があるから辞めてもいいという気持ちでしたが、父から高校は出ておいてくれと言われ、松本の夜間学校に転籍。原付バイクで片道1時間かけて通いました。夏は暑いし、冬は凍結で滑って転ぶし……2台くらい壊しましたよ。車の免許を取ってからは高速道路を使えば30分なので、かなり楽になりました。
昼は仕事、夜は学校という日々でしたが、若かったので苦労は感じませんでしたね。昼は家業の見習いで、ひたすら肉を切っていました。父は見て覚えろという職人タイプ。教えてくれませんでした。習得するまでは5年くらいかかりましたね。キャリアは雲泥の差ですから、今でも聞きながらやることもあります。

子どものころから車が好きで整備士になりたいという思いもあったので、整備士見習いもしました。高校を卒業した後は住み込みでのラーメン屋修業のほか、居酒屋、バー、スーパーなど……丁稚奉公みたいな感覚です。家族も見分を広げることには寛容だったので、1、2年、自由にさせてもらいました。
結局は並行している肉屋のほうに力が入ってしまうんですが、肉屋以外の事業をやりたいと思ったときに基礎知識は持っています、という立場でいたかった。生かせる知識は吸収したいという意識があったと思います。
家業に本腰を入れたのは2010年ごろから。当時は肉屋と警備士の両輪で回していましたが、2013年に安曇野店をやることになって専念しました。

安曇野店は開店から半年たったころから任されることになりました。筑北店では父の敷いたレールの上を走っていましたが、安曇野店では自分でレールを敷いていける。店舗を任されることで「自分がやらなくては!」という思いが強まりました。
初めての店舗経営は何もかもが難しかった。金銭面の管理など初めてのことばかりで課題が山積みでした。筑北村商工会のみなさんなどと相談しながら、学びながら働く、という姿勢で進めました。
施設の老朽化や今後の有益性などを熟考した結果、安曇野店を2021年に閉店。親も徐々に年を取って衰えが見えてきたので、自分が戻って支えるにも良いタイミングでした。

以前からのコンセプトを継承しつつ、若い世代の利用を促すサービスを

県内外の精肉店で働いていた父が脱サラして2001年に中澤精肉店を創業。信州新町にあるスーパーのテナントとしてスタートし、地域の食生活に貢献することを掲げて2003年12月に筑北村に店舗をオープンしました。

父から事業継承の提案があったのは2017年でした。漠然と「いずれは……」と思いつつも、提案を受けたときは寝耳に水。半年ほど悩みましたが、自分たち若い世代が新しい会社像を創成するほうがより魅力ある事業に昇華できるだろうと考え引き受けました。
実際は想像よりもヘビーでしたね(笑)。いつもの仕事に経営業務がプラスされ、タスクが2倍。店舗経営と会社経営は別モノなので、再び知識吸収モードに入りました。経営するようになって5年経ちますが、まだまだです。現在も家族に助けてもらいつつ運営しています。

中澤精肉店は、筑北村坂北地域にある精肉店です。コンセプトは「地域のお客さまに笑顔と食の楽しさをお買い得な価格で提供して喜んでいただける店づくり」。できるかぎり信州産の食材にこだわり、おいしいお肉をご提供しております。
お客さま目線での販売を大切にしつつ、SNSやデジタルクーポンなど若い世代にもご利用いただけるようなサービスを提供するなど、私たち世代だからこそできることを今後も取り組んでいきたいです。
西条にあった金山商店が発祥とされている『味付け牛モツ』は地域の精肉店さまが残してきたソウルフードですが、高齢化に伴う閉店などにより、当店のみの取り扱いとなってしまいました。当店の『味付け牛モツ』は祖母がお客さまから集めたニーズを取り入れながら試行錯誤し、2~3年かけて完成させた“おばあちゃんの味”です。ぜひご賞味ください。

サバゲーは異業種交流会。ビジネスチャンスを得ることも!

趣味はサバゲーです。22歳のとき友人に誘われて始めましたが、ちょうど知識を吸収したいモードに入ってしまったので1年くらいで離れました。警備士仲間から誘われて再開したのは2010年ごろ。昔の血が騒いで「この趣味、一生やってられるかも!」と感じました。中学は野球、高校は柔道、20代は総合格闘技をやっていたこともあるので体力はありますし、慣れてくると疲れにくい動きができるようになるんです。
サバゲーは超お手軽な異業種交流会のような感覚です。ラーメン屋さん、車屋さん、弁護士さん、コンビニ経営者など、いろいろな人と交流でき、ビジネスチャンスを得ることもたくさんありました。知識・視野を広げることができますし、プレイヤー同士の絆も芽生えます。趣味の合う人との会話も盛ん。そういう部分が一番の魅力ですね。
最近は時間や体力、予算に限りがあるので近場で遊びます。おすすめは茅野市にあるハイペリオンゲート。敷地面積7000坪森林フィールドで、初心者でものびのび遊べますよ。

安曇野店時代に寝泊まりしていた部屋は、サバゲーの道具をはじめ、フィギュア、プラモデル、ミニ四駆などを集めた趣味部屋になっています。日々の業務から解放されて自分だけの時間が作れる場所です。

若い世代にも筑北村を知ってもらうために自分たちが魅力を創出したい

筑北村には娯楽環境が致命的にない。本屋もゲーセンも気軽に呑みに行けるところもない。若者世代にはデメリットかも。
逆に、村だから良いところもあります。人とのつながりを大切にする地域で、小さいコミュニティだからこそ人のぬくもりに触れ合えます。
それから、とにかく景色が良い。山岳部なのに高速道路や鉄道などの交通インフラが整っているから、発展する可能性があるのも魅力ですね。西条白菜や雑穀米、みそ・豆腐などの地域食材にも恵まれています。気候は比較的おだやかですし、医療や介護施設も充実していてセカンドライフにもおすすめです。
最近はスポーツ振興に力を入れているので、小さいころからサッカーや野球などに触れる環境があるのも魅力です。『とくら沢ふれあい広場キャンプ場』があるのも良い。どっぷり自然につかる時間が楽しめます。ぜひキャンプに来てください。もちろん、バーベキューの食材にはぜひ中澤精肉店をご利用ください!

『北アルプスの風』の副理事である中村さんからの提案で農業法人を立ち上げる計画があり、まずは田畑を運用するノウハウを得ようと考えています。若手が農業をするためのモデルケースを作りたい。農業をもっと身近で手軽なビジネスにハードルを下げたいと考えています。
若い世代にも筑北村の魅力を知ってもらいたい。よりよい魅力を創出できるよう自分たち世代ががんばるので、もっと筑北村を知ってほしいです。

中澤精肉店ウェブサイト

https://www.rakuten.co.jp/nakazawa-meat/

中澤精肉店Twitter

https://twitter.com/nkzw_meatshop

中澤崇さん(34歳)

出身:坂北地域
職業:精肉店経営
地域:坂北地域
筑北村ふるさと納税返礼品の提供もあるお肉屋さん『中澤精肉店』を父親から引き継いだ若き経営者。地元密着・お客さま目線を大切にしつつ、SNSによる広報活動やECサイトによる販売にも取り組んでいる。趣味はサバゲーで、多いときは年間20~30戦することも。

ちくほく・ほくほく体験

心温まる体験はしょっちゅうです! 「今日は天気も悪いしひまだな」と思っていても、必ずなじみのお客さまが誰かしらご来店くださいます。わきあいあいと話しながら買い物を楽しんでいただいている。当店をそのような空間としてもご利用いただけているのはありがたいです。お客さまに支えていただいている肉屋です。

お気に入りちくほくスポット

坂井地域に4月にオープンしたラーメン屋さん『麺処 子々-ne ne-(めんどころ ねね)』です! 中華料理の修業をされたということで、麻婆豆腐など、本格的でおいしい料理がたくさんあります。うちの食材も使っていただいているんですよ。

このページの先頭に戻る